陰謀論の“元祖”をあつかった異色のドキュメンタリー

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「イルミナティ 世界を操る闇の秘密結社」

 選挙に負けた腹いせに、荒くれの支持者たちをあおって連邦議会を襲撃させる蛮行に走ったトランプ。

 あきれた話だが、哀れなのは「俺も一緒に行くぞ」とあおられたあげく、見捨てられたのも知らず議事堂で暴れまわり、世界中に恥をさらしたトランプ信者たち。それでも「Qアノン」や「プラウドボーイズ」など陰謀論を奉じる極右のゴロツキは、いまだ自分を悪と戦う信念の士だと信じている。彼らの脳裏には一体なにが渦巻いているのか。

 こうした陰謀論の“元祖”ともいうべき秘密結社をあつかった異色のドキュメンタリーが、今週末封切りの「イルミナティ 世界を操る闇の秘密結社」だ。

 イルミナティはフランス革命前夜の18世紀後半、南独バイエルン地方でイエズス会くずれの知識人が結成したといわれる。映画はその歴史を重々しいナレーションでたどり、オタクっぽい研究家たちの解説をつないでゆく。

 イルミナティは有名なフリーメイソンに寄生して内部から侵食したようだが、本来は“事なかれ保守”の政党である米共和党が狂信的右派に引っかき回される現状を連想する人も少なくないだろう。

 ちなみに監督のジョニー・ロイヤルは「ブラック・ロッジ」というパンクとメタルの中間みたいな「インダストリアル・ロック」のバンドリーダー。

 最近の極右はいじいじとスネた態度が特徴で、「ワイニー・ライト」(スネ者右派)なんて揶揄されるが、思えばパンクもメタルも破れかぶれのスネ者白人音楽だ。

 L・フェスティンガー著「予言がはずれるとき」(勁草書房 5000円+税)は千年王国や終末論などを強く信じた人間ほど、予言がはずれると逆に予言にしがみつく現象を論じた社会心理学の研究。自分に不都合な真実を否定したがる心理といえば、どこかの国の首相にも当てはまるかも。 <生井英考>

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