「お助け椀 人情料理わん屋」倉阪鬼一郎著

公開日: 更新日:

 ある夜、嵐に襲われ江戸・通油町の料理屋わん屋も浸水。主の真造とおみね夫婦は徹夜で水をかき出し、被害を免れる。翌朝、真造夫婦は、甘藷粥などを作って被災者への炊き出しを始める。

 炊き出し場所の稲荷神社では、御救い組を名乗る3人組の僧もおにぎりをふるまい、義援金を集めていた。翌日も店で被災者や彼らを援助する人たち用の「お助け膳」をふるまうと、例の御救い組が現れる。おみねは、精進料理しか口にしないはずの彼らがお助け膳を食べながら、刺し身や焼き魚の話をしているのを耳にして不審を抱く。同じく突如出現した御救い組に疑いの目を向ける「影御用」の梅津与力らも動きだす。

 世の中が丸く収まるようにと丸い器で出される「わん屋」の料理を小道具に描く時代人情小説。

(実業之日本社 770円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 2

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  3. 3

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  4. 4

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした

  2. 7

    有本香さんは「ロボット」 どんな話題でも時間通りに話をまとめてキッチリ終わらせる

  3. 8

    巨人は国内助っ人から見向きもされない球団に 天敵デュプランティエさえDeNA入り決定的

  4. 9

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 10

    佐藤輝明はWBC落選か? 大谷ジャパン30人は空前絶後の大混戦「沢村賞右腕・伊藤大海も保証なし」