「イルカと心は通じるか」村山司著
高校生の時に見た映画がきっかけで、イルカと話をすることが夢になった著者は、大学院でまだ誰も手をつけていなかったイルカの「賢さ」の研究に着手。その三十余年に及ぶ研究の成果と自らの研究生活をつづる奮闘記である。
ヒト並みの重さがあるほど、イルカの脳が大きくなったのは、超音波を発して反射してきた音でその物の大きさや材質、距離などを測る「エコーロケーション」という能力を獲得したため。イルカの賢さを何よりも象徴するのは、その言語理解能力で、人間が提示する2000を超える文を理解。単語が並んだ複雑な文を出されても、意味通りに正しく行動する。
水族館で飼育されている「陸のイルカ」を研究対象に、さまざまな実験を通して分かったイルカの驚くべき能力を、失業などの苦労話とともに紹介。
(新潮社 858円)