「中央線がなかったら 見えてくる東京の古層」陣内秀信、三浦展編著

公開日: 更新日:

 東京を考えるとき、その存在感ゆえに東西にまっすぐ横断するJR中央線を大前提にしがちである。

 しかし、それが沿線地域や、東京全体の基本構造を見えなくしていると著者らはいう。

 山手線の内側の古代や中世の痕跡は、江戸の都市空間に埋没してその存在がよく見えないが、杉並区や武蔵野、多摩には近世の都市がほとんどなかったゆえに、地形などの自然条件と結びついた古代や中世の要素がすぐ見つかる。そうした中央線沿線の街々を歩き、川や湧き水、神社、古道などを手掛かりに、各地域の江戸以前の古代・中世の世界を探っていく街歩きエッセー。

 まずは神田川沿いに発展した地域を訪ね、新宿から中野方面へ。以後、高円寺、阿佐ケ谷、国分寺、府中と歩き、街の見えない歴史に目を凝らす。

(筑摩書房 990円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは