「中央線がなかったら 見えてくる東京の古層」陣内秀信、三浦展編著

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 東京を考えるとき、その存在感ゆえに東西にまっすぐ横断するJR中央線を大前提にしがちである。

 しかし、それが沿線地域や、東京全体の基本構造を見えなくしていると著者らはいう。

 山手線の内側の古代や中世の痕跡は、江戸の都市空間に埋没してその存在がよく見えないが、杉並区や武蔵野、多摩には近世の都市がほとんどなかったゆえに、地形などの自然条件と結びついた古代や中世の要素がすぐ見つかる。そうした中央線沿線の街々を歩き、川や湧き水、神社、古道などを手掛かりに、各地域の江戸以前の古代・中世の世界を探っていく街歩きエッセー。

 まずは神田川沿いに発展した地域を訪ね、新宿から中野方面へ。以後、高円寺、阿佐ケ谷、国分寺、府中と歩き、街の見えない歴史に目を凝らす。

(筑摩書房 990円)

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