「古典モノ語り」山本淳子著

公開日: 更新日:

 平安時代の牛車にはグレードがあり、最も格式が高い唐庇車(からびさしのくるま)は上皇、皇后、親王らしか乗れなかった。四位以上の公卿らが乗る檳榔毛車(びろうげのくるま)は品格にふさわしく、ゆっくり走らせるのがいいと清少納言は書いている。

 あるとき、清少納言らはホトトギスの声を聞こうと公用車を用意させた。卯の花を御簾や棟木などに差し、動く花垣のように飾り付けて、藤原公信の屋敷前に乗り付けた。中宮定子に敵対していた公信に、自分たちが自由に大内裏の門を出入りできることを見せつけたのだ。(「牛車」)

 ほかに、贈答品として用いられていたのに、なぜか「大和物語」には贈るのは不吉だとされている扇など、古典に出てくるモノを通して平安貴族の日常を紹介する古典の入門書。

(笠間書院 2090円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋