「昭和歌謡と人文学の季節」井口貢著

公開日: 更新日:

「昭和歌謡と人文学の季節」井口貢著

 昭和の歌謡曲とともに半生を過ごしてきた大学教授が、その時々に聴いた歌とともに自分史を振り返りながら、「自由な想像力と創造力を発揮するための技能」としてのリベラルアーツ(教養)の大切さを説いたエッセー。

 著者にとってのリベラルアーツとの最初の出合いは、中学時代の旺文社文庫と、他校から異動してきた音楽と国語の2人の教師からの影響による音楽と文学・文芸体験だったという。

 中学3年のときには、級友らとバンドを組み、音楽室を拠点にしてプロテストソングをコピー。2人の教師を含む学年の担任団は、眉をひそめるどころか、バンドのライブを企画してくれたという。

 高校3年のときには南こうせつとかぐや姫の「神田川」が大ヒット。その前年にデビューした荒井由実(松任谷由実)の初アルバムに収録された「ひこうき雲」を主題歌にしたジブリ作品「風立ちぬ」、そして軽井沢の万平ホテルをイメージしたという松田聖子の「風立ちぬ」の話など、歌謡曲をBGMにして、リベラルアーツを学びの底流にして育む人文知の大切さを説く。 (ナカニシヤ出版 2640円)

【連載】時代を彩った名曲たち 懐かしの昭和歌謡本特集

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」