公開日: 更新日:

「ぼくの音楽人生」服部良一著

 現在放映中のNHKの朝ドラ「ブギウギ」に登場する羽島善一のモデルでもある昭和を代表する作曲家による自叙伝。

 明治40(1907)年、大阪で生まれた氏は学業優秀で将来は貿易商になることを夢見ていたが、家が貧しく進学を断念。姉の勧めで老舗ウナギ屋が宣伝のために結成した少年音楽隊に応募する。入隊式のその日は、関東大震災が起きた日だった。

 しかし、不景気で音楽隊は2年後に解散。ラジオ放送を始めた大阪放送局が結成した大阪フィルハーモニック・オーケストラに引き抜かれた氏は、指揮者のエマヌエル・メッテル氏に認められ、個人教授で音楽理論から指揮法まで学ぶ。

 当時、震災で仕事を失ったミュージシャンが仕事を求めて大挙来阪し、大阪はジャズの街として活況を呈していた。しかし、東京が復興すると音楽の中心は再び東へと移動。氏も東京への移住を考え始める。

「東京ブギウギ」をはじめ、「別れのブルース」や「青い山脈」など名曲誕生の秘話も明かしながら、その人生を回顧。大衆音楽草創期のミュージシャンや歌手らも多数登場し、その人生は日本の大衆音楽史と重なる。 

(日本文芸社 2420円)

【連載】時代を彩った名曲たち 懐かしの昭和歌謡本特集

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    名球会入り条件「200勝投手」は絶滅危機…巨人・田中将大でもプロ19年で四苦八苦

  2. 2

    永野芽郁に貼られた「悪女」のレッテル…共演者キラー超えて、今後は“共演NG”続出不可避

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    07年日本S、落合監督とオレが完全試合継続中の山井を八回で降板させた本当の理由(上)

  5. 5

    巨人キャベッジが“舐めプ”から一転…阿部監督ブチギレで襟を正した本当の理由

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    巨人・田中将大が好投しても勝てないワケ…“天敵”がズバリ指摘「全然悪くない。ただ…」

  3. 8

    高市早苗氏が必死のイメチェン!「裏金議員隠し」と「ほんわかメーク」で打倒進次郎氏にメラメラ

  4. 9

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  5. 10

    三角関係報道で蘇った坂口健太郎の"超マメ男"ぶり 永野芽郁を虜…高畑充希の誕生日に手渡した大きな花束