大予測!ニッポンの未来を占う本特集

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「世界で第何位?日本の絶望ランキング集」大村大次郎著

 終わらない戦争、止まらない気候変動と、先行きが見えないことばかりだが、2024年はどんな年になるのか。今回は、日本の「今」を知り、未来を予測するヒントとなる本を紹介する。



「世界で第何位?日本の絶望ランキング集」大村大次郎著

 日本の国際的地位の低下や衰退が指摘される一方で、「まだ日本は世界一」と唱える人もいる。日本の未来を知るにはまず現在地を知らなければならない。本書では、各分野で日本が国際的にどういう位置にあり、何を持ち、何が不足なのかをデータをもとに示し、日本の課題を明らかにする。

 まずは公共事業費を見てみると、日本は大幅に削減されたもののGDPに占める割合で3.7%と、2%台の2位以下を大きく引き離しての世界1位。しかし、自然災害による犠牲者数の人口比で常に世界のワースト10に入り、住宅に占める公営住宅の割合は他の先進国の3分の1程度、下水道普及率も地方は途上国以下のありさまで、公共事業の質のお粗末さは言葉を失うほどだという。

 そのほか、末期的に「腐食」した医療システムをはじめ、日本の資産と債務、格差や子育て、教育の実態など、次々とデータで明らかにしながら、日本再生の道を示す。

(中央公論新社 946円)

「東大教授が語り合う10の未来予測」瀧口友里奈編著

「東大教授が語り合う10の未来予測」瀧口友里奈編著

 各分野で最先端の研究に携わる東大の研究者が、それぞれの知見をもとに未来を予測する鼎談集。

 まずはテクノロジーによる「人間の能力の拡張」を研究する暦本純一氏と未知の生命現象の発見・解明・応用に取り組む合田圭介氏、AIの第一人者・松尾豊氏による鼎談。

 はじまりは「人間に能力をダウンロードする時代になる?」がテーマ。暦本氏はいろいろな能力を人にアプリで入れられる状態が日常化すると予測。そのためには脳の拡張が必要だという。そして話題は「1000歳まで生きる人間を作れる?」へと移り、合田氏によるとマウスや昆虫のレベルでは寿命を数倍延ばすことは可能なので、その技術を適用したら、人間の1000歳も1万歳もあり得る話だという。

 以降、「情報・通信」「宇宙」「病気と生命」をテーマに10人の研究者による全4回分の鼎談を収録。各回とも驚きの未来が提示され、知的好奇心が刺激される。

(大和書房 1980円)

「世界最高峰の研究者たちが予測する未来」山本康正著

「世界最高峰の研究者たちが予測する未来」山本康正著

 今起きている事象や研究中のテクノロジーが広まり、実装化されると、ビジネスや暮らしにどのような変化が起きるのかを予測したテキスト。

 エンタメ業界では、マンガや絵本から小説、作曲、絵画まで、プロが創作していたあらゆるコンテンツを生成AIが創作するようになると指摘。さらに希代の経営者・稲盛和夫氏から生前同様に経営のアドバイスを受けることができるようになるなど、亡くなった著名人や俳優を動画上に復活させることも可能に。

 金融業界では、銀行口座に限らずあらゆる金融サービスがスマホに取り込まれていくという。

 ほかにも洋上風力発電で得た電力をどこにでも届ける蓄電船や、トラックで運べるマイクロ原子炉などのエネルギー関連、スマートハウス化する住まい、そして教育関連まで。最新研究や、ゲームチェンジャーとなる企業とその取り組みを紹介しながら、ジャンルごとにその未来を予測。

(SBクリエイティブ 990円)

「激安ニッポン」谷本真由美著

「激安ニッポン」谷本真由美著

 日本人が世界中で「爆買い」をしていたバブル期から30年、今や日本は成長著しい途上国から見ても何もかもが「安い国」になってしまったという。日本の「安さ」をデータや事例で明らかにしながら、海外の人が日本の不動産や医療サービスなどあらゆるものを買っている現状を紹介し、その背景に迫るリポート。

 日本では100円ショップが、この10年で3000店以上増加し9000店を超え、ほかのテナントを駆逐。リサイクルショップも大流行で、日本人が貧しくなり、お金を自由に使うことができなくなっていると指摘。

 その一因は、驚くほどの賃金の安さにもある。30歳の東大卒の平均年収に比べ、オーストラリアで介護のアルバイトをしている20代の女性の方が200万円も上回っているのだ。

 非正規雇用の増加など日本経済停滞の要因を読み解きながら、これからの日本人はどうすれば幸せをつかむことができるのかを提示する。

(マガジンハウス 1100円)

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