「大人の居酒屋旅」太田和彦著

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「大人の居酒屋旅」太田和彦著

 居酒屋を訪ね各地を旅してきた著者は、いつからか旅先で「路傍の文学」=歌碑や石碑をよく読むようになったという。「そこに立たねば出会えない碑ははるばるやってきた感慨」があるからだ。

 本書は、そんな石碑巡りをはじめ、街出身の芸術家の個人美術館やこだわりの喫茶店など、居酒屋が開店するまでの時間をも楽しむ旅紀行。

「新潟ブルース」の歌碑にも刻まれる日本三大芸妓の町のひとつ古町通り。

 そこから細小路を抜けたところにある居酒屋「酒亭 久本」で、現役の芸妓でもある女将の酌で杯を傾ける。

 そして翌日も旧制高校生らの古町通いを戒める「どっぺり坂」の碑や、「(坂口)安吾生誕碑」などを巡る。

 ほか、若き与謝野鉄幹らの長崎行をたどる旅など、26の旅をつづる。

(新潮社 880円)

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