「震災列島」石黒耀著

公開日: 更新日:

「震災列島」石黒耀著

 ある日、政府は史上初めて東海地方に巨大地震の「警戒宣言」を発令し、対策に乗り出すが、総理はこの機に乗じ巨額の国家負債の一挙解消を画策する。

 一方、名古屋で地質調査会社を営む主人公・明石真人は、暴力団に家族を崩壊に追い込まれ、復讐を誓っていた。しかし計画の成功には自然災害が不可欠だった。そんな中、明石は東海地震と東南海地震が同時に発生し、大津波が名古屋を襲うと確信。だが、実際やってきたのはとてつもない超巨大地震だった。

 家も電信柱も立ち木も同方向へ一斉にかしげ、大地と電線が波打つ。10階建てマンションが急に1階分縮み、アスファルトが割れ、ねっとりした茶色い水が噴き出す。そして浜岡原発が……。

 東日本大震災の7年も前に書かれた本書だが、原発のメルトダウン、インフラの打撃など関連災害の描写がリアル。当時の最新の研究データに基づいて書かれた大災害小説だ。

 (講談社 1210円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  3. 3

    高市内閣の閣僚にスキャンダル連鎖の予兆…支持率絶好調ロケットスタートも不穏な空気

  4. 4

    葵わかなが卒業した日本女子体育大付属二階堂高校の凄さ 3人も“朝ドラヒロイン”を輩出

  5. 5

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    隠し子の養育費をケチって訴えられたドミニカ産の大物種馬

  3. 8

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 9

    高市早苗「飲みィのやりィのやりまくり…」 自伝でブチまけていた“肉食”の衝撃!

  5. 10

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑