「漫画 方丈記」鴨長明著/信吉(漫画)/吉野朋美(時代考証)/養老孟司(解説)

公開日: 更新日:

「漫画 方丈記」鴨長明著/信吉(漫画)/吉野朋美(時代考証)/養老孟司(解説)

 方丈記は、平安時代末期に書かれた日本三大随筆のひとつ。「ゆく河の流れはたえずして/しかももとの水にあらず」という一節は有名だが、日本最古の災害文学としての顔も持っている。本書は、そんな災害文学としての方丈記に焦点を当て漫画化したもの。

 都の大火災、養和の飢饉、文治地震、治承の辻風などを体験した鴨長明が行き着いた悟りの境地は、新型コロナや経済低迷、度重なる地震で明日に確証が持てない現代人の心に、不思議なほど寄り添う。

 大きな竜巻や津波を伴う地震が雅を誇った都を破壊した様子や、遷都などの政治の失敗が人民を貧困に追い込んだ様子が描かれ、これらの災いが私たちにも他人事ではないことが伝わってくる。

 すべてが永遠ではないことを実感した元祖ミニマリストから学ぶことは多そうだ。

 (文響社 1485円)

【連載】古今災害小説7選

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ