「漫画 方丈記」鴨長明著/信吉(漫画)/吉野朋美(時代考証)/養老孟司(解説)

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「漫画 方丈記」鴨長明著/信吉(漫画)/吉野朋美(時代考証)/養老孟司(解説)

 方丈記は、平安時代末期に書かれた日本三大随筆のひとつ。「ゆく河の流れはたえずして/しかももとの水にあらず」という一節は有名だが、日本最古の災害文学としての顔も持っている。本書は、そんな災害文学としての方丈記に焦点を当て漫画化したもの。

 都の大火災、養和の飢饉、文治地震、治承の辻風などを体験した鴨長明が行き着いた悟りの境地は、新型コロナや経済低迷、度重なる地震で明日に確証が持てない現代人の心に、不思議なほど寄り添う。

 大きな竜巻や津波を伴う地震が雅を誇った都を破壊した様子や、遷都などの政治の失敗が人民を貧困に追い込んだ様子が描かれ、これらの災いが私たちにも他人事ではないことが伝わってくる。

 すべてが永遠ではないことを実感した元祖ミニマリストから学ぶことは多そうだ。

 (文響社 1485円)

【連載】古今災害小説7選

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