「ハリケーン」高嶋哲夫著

公開日: 更新日:

「ハリケーン」高嶋哲夫著

 首都直下地震を想定した「M8」、東海・東南海・南海地震の同時発生を警告した「TSUNAMI 津波」など、自然災害を題材にしてきた著者が、常態化する異常気象の危機を訴える災害サスペンス小説。

 気象庁予報官の田久保は3年前に故郷の広島で起きた土砂災害で両親を失い、以来、土砂災害対策に忙殺され、家族を顧みる余裕がなかった。大手広告代理店に勤務する妻の恵美子も多忙を極め、一人息子の剛志はそんな両親に不満を抱くなど、家族間に亀裂が生じていた。そんな折、恵美子の母の認知症が悪化、一家はその介護のため多摩ニュータウンに転居することに。

 ちょうどその頃、記録的豪雨が続き、日本各地で土砂災害が起きていたが、そこへ大型の台風が接近、多摩地区の田久保家にも土砂災害の危険が迫っていた……。

 異常気象状況下にある日本の災害対策に対して、強く警鐘を打ち鳴らしている。

 (幻冬舎 715円)

【連載】古今災害小説7選

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    冷静になれば危うさばかり…高市バブルの化けの皮がもう剥がれてきた

  2. 2

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 3

    大関取り安青錦の出世街道に立ちはだかる「体重のカベ」…幕内の平均体重より-10kg

  4. 4

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  5. 5

    維新・藤田共同代表に自民党から「辞任圧力」…還流疑惑対応に加え“名刺さらし”で複雑化

  1. 6

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 7

    小野田紀美経済安保相の地元を週刊新潮が嗅ぎ回ったのは至極当然のこと

  3. 8

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 9

    「しんぶん赤旗」と橋下徹氏がタッグを組んだ“維新叩き”に自民党が喜ぶ構図

  5. 10

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み