「ぶらり謎解き浮世絵さんぽ」牧野健太郎著

公開日: 更新日:

「ぶらり謎解き浮世絵さんぽ」牧野健太郎著

 本書は、世界で一番美しいといわれている米国ボストン美術館の浮世絵コレクションのデジタルデータを活用。細部の拡大などを紹介しながら、絵師や職人が浮世絵に秘めた謎を解き、当時の生活のリアルに迫る。

 まずは歌川広重の人気シリーズ「名所江戸百景」から当時の重要なランドマークで生活の要であった橋を描いた作品に注目。

 吊るされた亀が富士山を遠望する「深川萬年橋」や、雪の降る夜にかさをかぶった商人が大きな振り分け荷を担いで橋を渡ろうとしている姿を描いた「びくにはし雪中」などの作品を取り上げ、亀はなぜ、どこに吊るされているのか、商人の担いでいる荷物は何か、さらに通りに張り出した看板の「山くじら」や「十三里」とは何か。それらを解説しながら、当時の習俗や食べ物などが、まるで江戸にタイムスリップしたかのように細部にわたって紹介される。

 もちろん、蔦重が版元になってプロデュース、そして販売した喜多川歌麿が恋に揺れる人妻を描いた「物思恋」や、浄瑠璃の師匠や茶屋の看板娘などを描いた「当時三美人」なども登場。

(エクスナレッジ 2420円)

【連載】蔦屋重三郎が生きた 江戸の文化・生活を知る本特集

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  2. 2

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  3. 3

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  5. 5

    巨人大ピンチ! 有原航平争奪戦は苦戦必至で投手補強「全敗」危機

  1. 6

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 7

    衝撃の新事実!「公文書に佐川氏のメールはない」と財務省が赤木雅子さんに説明

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    高市首相が漫画セリフ引用し《いいから黙って全部俺に投資しろ!》 金融会合での“進撃のサナエ”に海外ドン引き

  5. 10

    日本ハムはシブチン球団から完全脱却!エスコン移転でカネも勝利もフトコロに…契約更改は大盤振る舞い連発