「浮世絵と芸能で読む江戸の経済」櫻庭由紀子著

公開日: 更新日:

「浮世絵と芸能で読む江戸の経済」櫻庭由紀子著

 1657年の明暦の大火で江戸の町は焼き尽くされ、幕府は財政逼迫に苦しむが、家屋の建て直しなどの需要で材木商や大工、左官は大忙し。着物の買い替えで呉服屋や古着屋もビジネスチャンスをつかみ、江戸は復興バブルに沸いた。

 田沼意次の積極的な経済政策で浮世絵や歌舞伎、落語といった庶民文化が花開き、浮世絵や黄表紙の版元、蔦屋重三郎が江戸のメディアを発展させた。寛政の改革でメディアは抑圧されるが、文化、文政の頃になると十返舎一九の「東海道中膝栗毛」でレジャーブームが起き、人びとは伊勢参り、善光寺参りなどに繰り出す。

 江戸の風俗を描いた浮世絵や、歌舞伎、能などの芸能の演目から、政策や天災をきっかけに発展した江戸の経済を読み解く一冊。 (笠間書院 2090円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?