「浮世絵と芸能で読む江戸の経済」櫻庭由紀子著

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「浮世絵と芸能で読む江戸の経済」櫻庭由紀子著

 1657年の明暦の大火で江戸の町は焼き尽くされ、幕府は財政逼迫に苦しむが、家屋の建て直しなどの需要で材木商や大工、左官は大忙し。着物の買い替えで呉服屋や古着屋もビジネスチャンスをつかみ、江戸は復興バブルに沸いた。

 田沼意次の積極的な経済政策で浮世絵や歌舞伎、落語といった庶民文化が花開き、浮世絵や黄表紙の版元、蔦屋重三郎が江戸のメディアを発展させた。寛政の改革でメディアは抑圧されるが、文化、文政の頃になると十返舎一九の「東海道中膝栗毛」でレジャーブームが起き、人びとは伊勢参り、善光寺参りなどに繰り出す。

 江戸の風俗を描いた浮世絵や、歌舞伎、能などの芸能の演目から、政策や天災をきっかけに発展した江戸の経済を読み解く一冊。 (笠間書院 2090円)

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