「大江戸24時浮世絵で庶民ライフを物見遊山」堀口茉純著

公開日: 更新日:

「大江戸24時浮世絵で庶民ライフを物見遊山」堀口茉純著

 蔦重ゆかりの絵師らの膨大な作品の中から、江戸庶民の日々の暮らしぶりが分かる浮世絵を手掛かりにして、誌面で江戸っ子の一日を追体験する。

 寅の刻(暁7つ.7つ半=午前3~5時ごろ)。歌川国安の「日本橋魚市繁栄図」には、まだ夜明け前だというのに大勢の人でごった返す魚河岸の様子が描かれる。遠くに見える日本橋の上も人だらけだ。往来には魚を運ぶふんどし姿の男たちや見物人の武士、通りには魚を商う小屋が並ぶ。

 そんな浮世絵を手掛かりに、「イナセ」の語源となった威勢のいい男たちの髪形や、握り寿司の値段などの江戸事情が解説される。

 以降、時間の経過とともに、朝の身だしなみに産毛を剃る女性(「芝神明前」歌川豊国)、「明け六つ」(午前6時ごろ)の鐘を合図に町の出入り口の木戸が開き、長屋にモノを売りに来た行商人たち(「卯の花月」)などに描かれた情景を解説。

 さらに鳶や大工が働く様子や、床屋や居酒屋事情や歌舞伎の興行、そして終夜営業の吉原の遊女たちの仕事ぶりまで。

 江戸にまつわるウンチクも学べる面白本。

(KADOKAWA 1925円)

【連載】蔦屋重三郎が生きた 江戸の文化・生活を知る本特集

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  2. 2

    人事局付に異動して2週間…中居正広問題の“キーマン”フジテレビ元編成幹部A氏は今どこで何を?

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    テレビでは流れないが…埼玉県八潮市陥没事故 74歳ドライバーの日常と素顔と家庭

  5. 5

    菊乃井・村田吉弘さんが日本食の高級化に苦言…「予約が取れない店がもてはやされるのはおかしい」

  1. 6

    フジテレビを襲う「女子アナ大流出」の危機…年収減やイメージ悪化でせっせとフリー転身画策

  2. 7

    TV復帰がなくなった松本人志 “出演休止中”番組の運命は…終了しそうなのは3つか?

  3. 8

    "日枝案件"木村拓哉主演「教場 劇場版」どうなる? 演者もロケ地も難航中でも"鶴の一声"でGo!

  4. 9

    【埼玉・八潮市道路陥没「2次被害」現場ルポ】発生2週間、水は濁り死んだ魚が…下水放流地で見た河川の異変

  5. 10

    ロッテ吉井監督が佐々木朗希、ローテ再編構想を語る「今となっては彼に思うところはないけども…」