「知的障害者施設潜入記」織田淳太郎著

公開日: 更新日:

「知的障害者施設潜入記」織田淳太郎著

 知人の依頼で、一時、知的障害者施設で働いたノンフィクション作家が、現場で見聞きしたその実態を伝えるルポ。

 母親への強い愛着心が時に暴言や暴力になってしまう「アベッチ」、自宅のゴミ屋敷化に耐えられなくなった弟によって施設に入れられた「育子さん」、姉御肌の「ワンコさん」など。入所者との日々の交流を描く一方で、高尚な福祉の理念を掲げながらも、目を疑い、耳をふさぎたくなるような虐待の温床となっている施設の現実を告発。もっとも深刻なのは、虐待に手を染める側が、それを虐待だとは認識せずに本人のためとする懲罰手段によって彼らの私生活の一切に監視の目を光らせていることだという。

 多くの人の心の奥に潜む差別的・優生的な観念をもあぶり出す渾身作。

(光文社 1408円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHK3年連続赤字で番組制作費82億円カット…タモリもダーウィンも華大も豊臣もピンチ!

  2. 2

    萩本欽一〈24〉相方の坂上二郎さんとは「遊ばない・食事しない・夢を語らない」を徹底した事情

  3. 3

    289億円負債で経営破綻した絆ホールディングスと政界の“不可解なキズナ”を福祉関係者が注視

  4. 4

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  5. 5

    日テレが「news LOG」和久田麻由子を全面バックアップできない切実事情…佐藤栞里や有働由美子との決定差

  1. 6

    「愛子天皇」潰しが国会の最優先法案? 麻生副総裁の野望に振り回される皇室と国民生活

  2. 7

    本田圭佑がサッカーW杯解説で「独り勝ち」 テレビ&CM争奪戦ボッ発で“ワリを食った”あの人

  3. 8

    高市首相の「反社会性パーソナリティー」を精神科医が懸念…海外メディアもG7での“虚勢”をさらし上げ

  4. 9

    元ボクシング世界王者・薬師寺保栄が妻に無断でレースQの愛人を「養女」に…妻が明かした苦しい胸中

  5. 10

    ソフトバンク中村晃が現役引退へ…当面の仕事は「幼稚な二軍選手」の根性叩き直し