「署長サスピション」今野敏著
「署長サスピション」今野敏著
大森署・署長室の金庫には、その日、1億円の札束が保管されていた。戸高刑事が八百長絡みで万舟券を当て手に入れた配当2000万円と、詐欺の主犯から押収した3000万円、さらにおとり捜査のために用意された見せ金5000万円だ。
近頃、大森署管内で怪盗フェイクによる窃盗事件がマスコミを騒がせていた。高級腕時計の偽物を用意し、本物とすり替えて持ち去るという手口である。体形や姿勢まで変えてしまう変装の名人らしい。その怪盗フェイクがSNSに「大森署の署長室にあるお宝をいただく」と犯行予告をした。スポーツ紙に「万舟券が警察官に?」という記事が載ったのだ。美人署長の藍本小百合は怪盗フェイクを捕まえるチャンスだと張り切るが……。
大胆不敵な怪盗と美人署長の闘いを描く警察小説。
(講談社 1980円)