「冥土 レンタルサービス」藤崎翔著

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「冥土 レンタルサービス」藤崎翔著

 気が付くと文子は、一面灰色の死後の世界にいた。95歳になり最近は病室で寝たきりだったので無理もない。

 驚くことに体はなくなり、文子は1枚のQRコードになっていた。矢印に導かれ進むと、「冥土レンタルサービス」と書かれた建物が現れ、QRコードに反応する電子音が聞こえた。出迎えた女性の説明によると、文子が生前に徳を積んで貯めたポイントに応じてレンタル生物を利用できるという。生物はハエや蚊からチョウ、鳥までさまざま選べ、その生物の体を借りて、しばらく現世に戻ることができるらしい。文子は生前に好きだったメジロの体を借りて自分の葬儀会場に行ってみることに。

 ほかにも元警官や暗殺されたヤクザら、束の間現世に戻った死者たちの悲喜劇を描く連作集。

(祥伝社 880円)

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