春画鑑賞がもっと楽しくなる本特集

公開日: 更新日:

 そもそも春画の始まりは平安時代初期。中国の房中術(性愛の手引書)を描いた「偃息図」が伝わったところから始まる。ところが、この偃息図では性器の誇張は見られないため、日本独自の表現方法と考えられる。「日本人は見えっ張りだったのか」と勘繰ってしまうが、そうではない。プロフェッショナルである絵師は、絵の面白さをより追求するとともに、男女和合を「めでたいこと」とする国民性ならではのデフォルメを施したのではないかと著者は考察している。

 さらには、度重なる禁制が敷かれても、ここまで春画が発展したのは、権力に屈しない反骨精神を持つ江戸っ子気質があったから。春画を描いてこそ一流の絵師とされる風潮もあり、名だたる浮世絵師がこぞって春画を描いたことからも、その心意気が伝わってくる。

 相撲の決まり手である四十八手を体位に置き換えて描いた菱川師宣、医学書や教訓書のパロディー春画を手掛けた月岡雪鼎、質・量ともに最高峰の喜多川歌麿など、名浮世絵師11人の作風や特徴とともに、カラー作品も掲載。著者ならではの視点で、春画鑑賞のポイントを指南してくれる。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希にリリーバーとしての“重大欠陥”…大谷とは真逆の「自己チューぶり」が焦点に

  2. 2

    初の黒人力士だった戦闘竜さんは難病で入院中…「治療で毎月30万円。助けてください」

  3. 3

    吉沢亮は業界人の評判はいいが…足りないものは何か?

  4. 4

    「俺は帰る!」長嶋一茂“王様気取り”にテレビ業界から呆れ声…“親の七光だけで中身ナシ”の末路

  5. 5

    吉沢亮「国宝」150億円突破も手放しで喜べない…堺雅人“半沢直樹ブーム”と似て非なるギャラ高騰の行方

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    巨人・田中将大が好投しても勝てないワケ…“天敵”がズバリ指摘「全然悪くない。ただ…」

  3. 8

    トイレ盗撮も…谷村新司が息子を叱れない“恥ずかしい過去”

  4. 9

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  5. 10

    西野カナ×Perfumeショットにファンびっくり…ザワつき巻き起こした「のっち不在ショット」を読み解く