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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

「山田孝之のカンヌ映画祭」は虚実皮膜を楽しむドラマ

公開日: 更新日:

 俳優・山田孝之が仕事を決める時、低予算も深夜枠も関係ない。挑戦的な企画、共感できる制作陣、何よりその現場が刺激的かどうかで判断する。「山田孝之のカンヌ映画祭」もそんな一本だ。

 山田がカンヌでの受賞を目指し、プロデューサーとして映画製作に取り組む。作品名「穢の森」。主演は芦田愛菜。父親を死なせた母親とその愛人に復讐する。監督は「マイ・バック・ページ」の山下敦弘と、3・11直後の東京をドキュメントした「トーキョードリフター」の松江哲明。さらに撮影は是枝裕和監督作品で知られる山崎裕だ。マジで見たい。

 番組は山田たちの映画作りのプロセスを追っていく。なんと山田と山下は敵情視察とばかりに、本物のカンヌ映画祭に潜入。そこに集う映画関係者に「穢の森」のデモ映像を見せたり、映画製作についてのアドバイスを受けたりするのだ。そして先週はキャストのオーディションを行っていた。

 また「殯の森」でカンヌの審査員特別大賞を受賞した河瀬直美監督も登場。「賞より中身。そこに魂はあるのか」と山田を叱る。このあたり、演出だと分かっていてもドキドキする。

 一体どこまでが実で、どこからが虚なのか。もちろん全部が虚かもしれないが、その中に隠された実もある。この船酔いにも似た虚実皮膜の揺れを楽しむのがこの番組だ。

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