著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

復興阻む2つの壁 Nスペ「シリーズ東日本大震災」の見応え

公開日: 更新日:

 3月11日の夜、NHKスペシャル「シリーズ東日本大震災」が2本続けて放送された。どちらも重要な問題提起を行っており、見応えがあった。

 1本目は「“仮設6年”は問いかける~巨大災害に備えるために~」。現在も3万5000人が仮設住宅で暮らしている。しかし、もともと長期の生活には無理がある施設。亡くなる高齢者も多い。番組は、この事態を招いた原因として「災害救助法」を挙げていた。昭和22年に制定されたもので、仮設暮らしが長期化する大規模災害には対応できないのだ。

 かつてこの法律の見直しが検討されたことがある。だが、応急救助の厚生省と再建支援の国土省の折り合いがつかず頓挫した。“災害救助法の壁”と“省庁の壁”。2つの壁の存在と問題点を明らかにした意義は大きい。

 2本目のNスペは「避難指示“一斉解除”~福島でいま何が~」だ。国の判断によって、間もなく広い地域で避難指示が一斉に解除される。

 しかし住民は、放射線量への不安、山積みの除染廃棄物、打ち切られる補償といった悩みを抱えたままだ。一方、自治体は村や町の存続への危機感から避難指示解除を急いできた。そのギャップが行政と住民、住民同士、そして家族の間での“分断”を進行させている。それは二重被災ともいうべきものであり、あらためて誰のための復興なのかが問われていた。

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