著者のコラム一覧
大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

“我慢の人”三船敏郎さんを描いたドキュメンタリーが泣ける

公開日: 更新日:

 亡き三船敏郎さんの映画が公開されているのをご存じか。ドキュメンタリー映画だが、これがやけに泣けるのである。タイトルは「MIFUNE:THE LAST SAMURAI」だ。

 2年以上前に製作された作品だから、インタビューを受けている高齢の俳優たちで、すでに故人になられた方が何人もいた。土屋嘉男、加藤武、夏木陽介、中島春雄らである。彼らの言葉を聞いているだけで胸がジーンと熱くなり泣ける。

 土屋さんは、三船さんが「我慢の人だった」と何度も言う。「我慢」を口にする土屋さんの絞り出すかのような声質に胸をかきむしられる。「我慢」をため込んだ三船さんは、アルコールを飲んで夜に荒れ狂うのだ。

 我慢せざるを得ないのは、黒沢明監督の厳しい演出指導にあった。その象徴として、「蜘蛛巣城」(1957年)で三船さん目がけて大量の矢が放たれる名シーンが映し出される。彼の真横に矢が本当に突き刺さるのだから、まさに命懸けだ。黒沢映画のスクリプターだった野上照代さんは、それを三船さんがこなしたのは「(黒沢監督への)恩義」と話す。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  2. 2

    国民民主党の支持率ダダ下がりが止まらない…ついに野党第4党に転落、共産党にも抜かれそうな気配

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    来秋ドラ1候補の高校BIG3は「全員直メジャー」の可能性…日本プロ野球経由は“遠回り”の認識広がる

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  3. 8

    脆弱株価、利上げ報道で急落…これが高市経済無策への市場の反応だ

  4. 9

    「東京電力HD」はいまこそ仕掛けのタイミング 無配でも成長力が期待できる

  5. 10

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー