著者のコラム一覧
大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

「空飛ぶタイヤ」で好演 ディーン・フジオカの新たな魅力

公開日: 更新日:

 ロシアW杯のコロンビア戦終了後、DFの長友佑都は「(これは)みんなで勝ち取った勝利」と語っていた。当たり前のコメントに聞こえるが、そうではない。あの試合はまさに総合力の産物だった。筆者はすぐに、映画「空飛ぶタイヤ」のことを思った。

 本作は、主演の長瀬智也を筆頭にオールスター映画にして、俳優の個性を最優先した配役が見事だった。それぞれの連携プレーが良く、俳優陣が全員で映画の勝利を称え合ったかのような印象があった。勝利とは、中身の良さと興行のヒット(最終興収20億円弱)である。

 なかでも主要人物のひとり、ディーン・フジオカが良かった。あの整った風貌はどんな役でも合うということはなく、これまでの出演作の多くが彼の持ち味と役どころがどこかちぐはぐだった。それが、本作では自身が勤務する自動車メーカーの危機を穏やかな風貌のままに冷静沈着な行動力ではね返してみせ、これが彼の新たな魅力につながっていた。

 運送会社専務役の笹野高史がまた、あきれ返るほどうまい。いわば会社の大番頭で社長(長瀬も好演)の独断をいさめつつも、その意向も無視できない複雑な役をほぼ完璧に演じていた。笹野は、日本映画界の至宝である。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    年収1億円の大人気コスプレーヤーえなこが“9年間自分を支えてくれた存在”をたった4文字で表現

  2. 2

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償

  3. 3

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  4. 4

    “やらかし俳優”吉沢亮にはやはりプロの底力あり 映画「国宝」の演技一発で挽回

  5. 5

    山尾志桜里氏“ヤケクソ立候補”の波紋…まさかの参院選出馬に国民民主党・玉木代表は真っ青

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題?

  2. 7

    フジテレビCM解禁の流れにバラエティー部門が水を差す…番宣での“偽キャスト”暴露に視聴者絶句

  3. 8

    国分太一は“家庭内モラハラ夫”だった?「重大コンプラ違反」中身はっきりせず…別居情報の悲哀

  4. 9

    輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れ

  5. 10

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒