大作続編、本格サスペンス…批評家が厳選する“酷暑の映画”

公開日: 更新日:

 ドキュメンタリー好きには「クレイジー・フォー・マウンテン」。山の映画は数あれど、本作ほど多彩な視点で“山の魅力”を引き出した映画はそうそうない。登山黎明期の貴重な映像から始まり、最新の山スポーツの数々まで。ウイングスーツを装着してムササビのように山間を滑空する男。ヘリから飛び降りスノーボードで雪崩を滑り降りる人物。自転車で幅数十センチの絶壁の脇道を爆走する命知らずの若者……。そんなクレイジーな人々を、空撮とスローを多用した神々しい映像美で見せる。

 本格サスペンスならば「ウインド・リバー」。米国人でさえ実態を知らない現代アメリカの闇=インディアン自治区の恐るべき真実を、実話をもとに描くドラマだ。ある日、マイナス30度の雪原のど真ん中でなぜか裸足の少女遺体を発見した猟師の男。“ありえない”この遺体の謎を、彼は新米の女性FBI捜査官と共に探るが……。抜群に面白いストーリーの先には、大きな衝撃と社会派的興味が待ち受ける。

「追想」は、男でも女でも楽しめる異色の恋愛ドラマ。

 舞台は62年夏のロンドン。保守的な時代の、ウブだがほほ笑ましいカップルが今まさに結婚初夜を迎えようとする場面から映画は始まる。新郎が生まれて初めての女体に近づくドキドキな展開の中、なぜ2人がこうなったのか、回想シーンが適時挟まれる。やがてわずかな齟齬や邪魔が次々と入り、愛し合っていたはずの2人の関係に不穏な空気が流れ始め……。予想不可能な終盤の展開に大ショックを受ける、ネタバレ厳禁な一本だ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  2. 7

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  3. 8

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 9

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  5. 10

    中居正広氏に降りかかる「自己破産」の危機…フジテレビから数十億円規模損害賠償の“標的”に?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?