梅枝&児太郎 阿古屋で名乗り出た“歌舞伎座の立女形”の道

公開日: 更新日:

 玉三郎は阿古屋を演じない日は、岩永という赤面の役を人形ぶりで演じる。玉三郎が出る日は松緑が演じている役で、玉三郎にとって初役。何の予備知識もなく見たら、玉三郎とは分からないだろう。見たこともない玉三郎なのだ。だから阿古屋で出ない日も、玉三郎ファンなら見逃せない。

 阿古屋は劇中で、琴、三味線、胡弓を演奏しなければならず難役とされ、戦後、大歌舞伎でこの役を演じたのは、中村歌右衛門と玉三郎しかいない。つまり、この役を演じられる役者が、歌舞伎座の立女形の有資格者なのだ。梅枝と児太郎が、名乗りを上げたことを称えたい。2人はこれから何十年も続く立女形への道を競い合う、そのスタート地点に立った。その意味で歴史玉三郎に残る公演だ。

 話題の小説、吉田修一著「国宝」(朝日新聞出版)は歌舞伎界を舞台としたもので、阿古屋をめぐる物語でもある。この本と今月の歌舞伎座は、偶然にも虚実のメディアミックスとなっている。読んでから見てもいいし、見てから読むのでもいい。読めば面白さが倍増する。

(作家・中川右介)

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    国会前デモ「ごっこ遊び」揶揄で炎上の高市チルドレン門寛子議員 被害者ヅラで取材依頼書さらし“火に油”

  2. 2

    TBS「テレビ×ミセス」のスマスマ化で旧ジャニ不要論が加速 “体を張るイケメン”の専売特許は過去のもの

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    「自転車1メートル規制」で渋滞発生 道路交通法改正とどう付き合うべきか

  5. 5

    迷走から一転…NHK朝ドラ「風、薫る」にヒットの予感が漂うワケ

  1. 6

    嵐の大野智と相葉雅紀、二宮和也が通信制高校で学んだそれぞれの事情

  2. 7

    中居正広氏の公式サイト継続で飛び交う「引退撤回説」 それでも復帰は絶望的と言われる根拠

  3. 8

    「得したつもりで毎月赤字」…ポイ活にハマる人ほど貧乏になる背景と損をしない使い方

  4. 9

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  5. 10

    日ハム「にわか成り金」のトホホ 有原航平が防御率8.23で二軍落ち…「ドラフトと育成」は今や過去