著者のコラム一覧
ダンカンお笑いタレント・俳優・放送作家・脚本家

本名・飯塚実。1959年、埼玉県毛呂山町生まれ。落語家を目指し立川談志に弟子入り。「立川談かん」として活動した後、たけし軍団入り。お笑いタレント、俳優、放送作家、脚本家と多才で、現在はTAPの専務取締役。

大塚署を出るその時…たけしさんが軍団に向かってボソリと

公開日: 更新日:

 1986年12月9日未明に起きた「フライデー襲撃事件」は朝になり、日は完全に昇りきっていた。いよいよたけしさんと我々たけし軍団は大塚署を出るその時を迎えようとしていた。

 署員に先導され、大塚署の裏口へと続く、まるで地下道のような薄暗く冷たい通路を無言で進む我々……。その先頭にはやはり口を真一文字に結んだたけしさんがいた。

「では、この扉の向こうに車が用意されてますから」と、どこか機械的に聞こえるその声を遮るように、たけしさんがゆっくりとこちら側を向いた。

 ほんのわずかな静寂、それを嫌うかのようにボソリとしゃべり出すたけしさん。

「おまえら、悪かったな……。これでもう、この世界ではダメになっちまうかもしれないけど、土方やってでもおまえらの面倒は一生みるからよ! さっ、行くか」

 一瞬、心臓が停止するのではないかと思うくらいジーンときた。素直に感動していた。そして、そこにいた軍団連中のだれしもが同じなのだろうと、その空気の中でオレは感じていた。ただ、それから自分でも気がつかないうちに、目頭に熱いものが……となることはなかった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  5. 5

    巨人正捕手は岸田を筆頭に、甲斐と山瀬が争う構図…ほぼ“出番消失”小林誠司&大城卓三の末路

  1. 6

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  2. 7

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    「ばけばけ」苦戦は佐藤浩市の息子で3世俳優・寛一郎のパンチ力不足が一因