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荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

<9>電通で特別待遇 毎日スケッチブックの写真集を作ってた

公開日: 更新日:

 毎日、銀ブラしている女性の顔をガンガン撮ってたよ。プリントした顔を切り抜いて、白バックに貼って複写した「中年女」。彼女たちの顔に人生がつまっていて、いいんだよね。信号待ちの群衆もね。ず~っと、何時間も撮ってたね。ぜんぜん飽きないんだ。銀座の雑踏の群衆も毎日撮って、「雑踏の中のあなた」っていうのもあるよ。

 銀座は正午になるとOLたちが昼食でビルから出てくるんだ。その頃はOL(オフィスレディ)と言わないで、BG(ビジネスガール)と呼んでた。当時はね、みんな紺色の制服を着てたんだよ。

 濃紺の制服を着たBGたちが昼休みになると、だらだら会社の中から散歩に出てくる。それがまるで囚人みたいに見えてね。その姿が監獄から解放されて喜んで出てくるように見えてさ、彼女たちの散歩コラージュっていうのも作ってる。OLは「ビルの中に閉じ込められた女囚だ」って、丸ビルの窓に彼女たちの写真をはめ込んだのもあるよ。丸ビルは、その頃の女の子の憧れの場所だったんだ。

 そうやって、毎日撮って、毎日プリントして、毎日スケッチブックを作ってた。でも、おんなじことはやらない。それでね、おもしろいのはさ、その頃にさ、もう全部やってるんだよね。今、写真でやっていることを。電通時代は、オレの写真の修行時代だったね。

(構成=内田真由美)

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