著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

2015-2022「那須川天心vs武尊」の記録(下)2人の立場が入れ替わり「何だか恋愛みたいですよね」

公開日: 更新日:

 昨年末の会見で「人間関係が壊れる一歩手前まで行きました」と榊原も回想したように、天心の説得は困難を極めていた。どうにか翻意を促し、双方が合意に至ったのが、22年6月19日開催だったのである。最初の対戦表明から7年という歳月が経っていた。

 記録を編みながら、筆者は「恋愛に似ている」と感じた。BLに例えたいわけではない。ただ、共通点が存外に多いことに気付く。最初は武尊を追いかけていた天心だったが、住む世界が変わったことで関心を示さなくなった。恋愛においてよくあることだが、そこで立場の逆転を自覚していた武尊が、見えをかなぐり捨て猛アタックを開始。悲願を成し遂げる──というストーリー。いみじくも天心は試合後、こう発言した。

「何だか恋愛みたいなんですよね。惚れてふられて、また戻ってって」

“七年愛”は、天心が初心を貫徹したことで、とにもかくにも、成就したのである。

※次回からは「2003年大晦日の真実」編が再開します。

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