松山ケンイチや阿部サダヲが主演…映画界“孤独死”作品が急増の謎解き

公開日: 更新日:

 エリザベス女王や安倍晋三元首相など、国を挙げての「国葬」が話題になっているが、その対極にあるのが「孤独死」であろう。女優・島田陽子(享年69)も、遺体の引き取り手がおらず、荼毘にふすことができないという報道があったが、内閣府の高齢社会白書によると東京23区内の65歳以上の一人暮らしの死亡者数は4238人(2020年)。孤独死と思われる事例は増加傾向にあり、映画界でも身近なテーマになりつつある。

 現在公開中の荻上直子監督作「川っぺりムコリッタ」には、幼い頃に自分を捨てて家を出た父親が孤独死したという知らせを受け、親子の実感がわかない父親の遺骨の処理に悩む松山ケンイチ扮する主人公が登場する。30日公開の水田伸生監督、阿部サダヲ主演の「アイ・アムまきもと」は、人知れず亡くなった人を埋葬する“おみおくり係”の市職員を主人公にした、孤独死が題材の人間ドラマだ。島田陽子は8月にはようやく荼毘にふすことができたが、近親者がなく、結局マネジャーが遺骨を引き取った例を見ても、これは絵空事の話ではない。

 このところ孤独死を扱った映画が増えているが、死の描かれ方はこの約40年で大きく変わった。伊丹十三監督のデビュー作「お葬式」(84年)は妻の父親が亡くなり、親族代表として初めて葬式を取り仕切ることになった主人公が、無事に葬式を終えるまでをコミカルに描いている。葬式の決まり事や段取り、かかる費用までを盛り込んだ伊丹監督らしいうんちく映画にもなっているが、葬式が故人の友人や親族を呼び集めて、しかも主人公の家で行う一大セレモニーなのが80年代らしい。和泉聖治監督、橋爪功主演の「お日柄もよくご愁傷さま」(96年)は、知人の結婚式の仲人を頼まれた主人公が、式の当日に父親が突然亡くなって、結婚式と葬式を同時にこなすことになるホームコメディー。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    朝ドラ「あんぱん」豪ちゃん“復活説”の根拠 視聴者の熱烈コールと過去の人気キャラ甦り実例

  3. 3

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  4. 4

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  5. 5

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  1. 6

    中居正広氏に降りかかる「自己破産」の危機…フジテレビから数十億円規模損害賠償の“標的”に?

  2. 7

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  3. 8

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 9

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  5. 10

    長嶋一茂が父・茂雄さんの訃報を真っ先に伝えた“芸能界の恩人”…ブレークを見抜いた明石家さんまの慧眼

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  2. 2

    大谷 28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」とは?

  3. 3

    学力偏差値とは別? 東京理科大が「MARCH」ではなく「早慶上智」グループに括られるワケ

  4. 4

    ドジャース大谷の投手復帰またまた先送り…ローテ右腕がIL入り、いよいよ打線から外せなくなった

  5. 5

    よく聞かれる「中学野球は硬式と軟式のどちらがいい?」に僕の見解は…

  1. 6

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  2. 7

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  3. 8

    長嶋茂雄さんが立大時代の一茂氏にブチ切れた珍エピソード「なんだこれは。学生の分際で」

  4. 9

    (3)アニマル長嶋のホームスチール事件が広岡達朗「バッドぶん投げ&職務放棄」を引き起こした

  5. 10

    米スーパータワマンの構造的欠陥で新たな訴訟…開発グループ株20%を持つ三井物産が受ける余波