著者のコラム一覧
松尾潔音楽プロデューサー

1968年、福岡県出身。早稲田大学卒。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、SMAP、JUJUらを手がける。EXILE「Ti Amo」(作詞・作曲)で第50回日本レコード大賞「大賞」を受賞。2022年12月、「帰郷」(天童よしみ)で第55回日本作詩大賞受賞。

「裸のムラ」五百旗頭監督があぶり出す“家父長制”というこの国の宿痾

公開日: 更新日:

 岸田首相が長男を首相秘書官に起用した。この国に根付く「家」を痛感させる出来事である。

「官邸内の人事活性化と岸田事務所との連携強化」が目的というが、うのみにする有権者ばかりでないことは首相も重々承知のはず。低支持率にあえぐ現在、最も信頼のおける存在が長男だとしても、公私混同のそしりは免れない。

 岸・安倍家をはじめ、古い家制度にのっとるように政治家一族の世襲と利権占有は続いてきたし、終わる気配もない。明治憲法下の家制度は1947年に解体されたとはいえ、そのイズムは依然として政界そして国全体を縛りつけている。

 北陸に居を構え、かの地の事情を微細に描くことでこの国全体を覆いつくす理不尽をも映しだす異能のテレビマンがいる。五百旗頭(いおきべ)幸男監督だ。現在44歳。

 2020年の映画「はりぼて」で富山市議会の不正を暴き、政治ドキュメンタリーの新たな旗手として注目を集めた彼が、富山のチューリップテレビから石川テレビに移籍して撮った「裸のムラ」は、「家」つまり家父長制(父権主義)のありようをとらえた意欲作である。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁