死刑囚の前でありえない失言も…刑務所慰問でもらった最上の褒め言葉

公開日: 更新日:

「ところが、当の死刑囚の方々は笑っている。もう悟りの境地なんでしょうか。後日、聴衆が書いたアンケート用紙を読んだら、『饅頭よりも楽しかったです』とある。饅頭は甘い物に飢えている囚人の楽しみなんです。それよりも落語の方が良かったというのは、最上の褒め言葉ですね。死刑囚はこんなことも書いてました。『私たちは、死ぬために生かされてます』と」

 死刑制度を考えさせられる話だ。その後も、歌武蔵は才賀に付いて、全国の刑務所、少年院を慰問する活動を続けた。そして1998年3月、真打ちに昇進する。

「年功序列で4人一緒の昇進でした。喜びは二つ目昇進時の方が大きかったですね。真打ち披露はパーティーの準備とか、披露興行の時に出す弁当の手配とか、終演後の打ち上げとか、雑事が多いので神経を使う。ただ、師匠の披露口上は感激でした。『こいつは前座時代、よく食ったんですよ』といった話で笑わせて、最後に、『新たなライバルができました。手を取って共に上らん花の山』と締める。いい口上でした」

 昇進後、しばらくして、歌武蔵が慕う先輩、柳家喜多八に、「自分の会やってる?」と聞かれた。それが「落語教育委員会」を始めるきっかけだ。 (つづく)

(聞き手・吉川潮)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  2. 7

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  3. 8

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 9

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  5. 10

    中居正広氏に降りかかる「自己破産」の危機…フジテレビから数十億円規模損害賠償の“標的”に?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?