テレビはなぜ腐ったのか…元テレビ朝日“中の人”がえぐる闇と問題点、そして未来

公開日: 更新日:

収録より生放送のほうが楽なんです

 ──最近はワイドショーや情報番組など長時間生放送が増えていますね。

「実は収録より生のほうが楽なんです。収録番組だと、店を取材すれば編集し、リアクションを編集し、雪だるま式に編集作業が増え、その分人件費がかかる。生放送で出演者のコメントで埋めていくほうが制作側としては手抜きができる。その結果、ワイドショーや情報番組など2時間超えの番組が増え、1時間で2ネタであとはトークで埋めているのも少なくありません」

 ──ニュースソースにも問題があるといいます。

「コロナ禍を経てニュースソースの使いまわしが増え、2日も3日も前のニュースを流していて、もう鮮度はなくニュースではなくなってしまっていることがある。最近は視聴者のスマホからの投稿やSNSの引用で成り立っていて、SNSのまとめサイトと変わりません。こうしたまとめ番組ではパネルの出来の良しあしが視聴率を左右するので、パネル構成が得意な若手ADの取り合いが起きています。“パネルとトークで埋める”。これを報道と呼ぶのはどうか疑問に思います」

 ──今年は日本でテレビ放送が始まって70年の節目。ネットの台頭、配信動画の普及などで、かつては娯楽の王様と呼ばれたポジションからテレビ局は転がり落ちてしまいましたが、未来はあるのでしょうか。

「『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)も終了しますが、ベテラン番組はますます減ると思います。ベテラン勢のギャラは一度上がったものは下げられず、若手に代えることで制作費が抑えられる。またベテラン勢も“もういい”という風潮になってきている。

 現場の若返りが進み、今まで一緒にやってきたスタッフたちが現場を離れ、若いタレントとスタッフの和気あいあいとした現場に疎外感を感じる。言いたいことも言えない不自由な中で頑張ったところで視聴率が上がるでもなく、報われない。さらに年を重ね体力的にも以前ほど楽ではない中で“もういいや”という気分になってくる。後ろ向きな理由による新陳代謝が進んでいます」

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    全英V山下美夢有の「凱旋フィーバー」は望み薄…6年前の渋野日向子と決定的な違いとは?

  2. 2

    東洋大姫路(兵庫)岡田監督「大学からは『3年で』と言われたけど、ナンボ何でも無理ですと」

  3. 3

    中山美穂「香典トラブル」で図らずも露呈した「妹・忍」をめぐる“芸能界のドンの圧力”

  4. 4

    炎天の弔辞で高橋克典が読み上げた「芸能界のドン」秘話…ケイダッシュ川村会長告別式

  5. 5

    叡明(埼玉)中村監督「あくまで地元に特化したい。全国から選手を集めることは全く考えていません」

  1. 6

    中居正広氏に新事実報道!全否定した“性暴力”の中身…代理人弁護士は「出どころ不明」と一蹴

  2. 7

    突然告げられた強制米留学、現地では毎日ドミニカ人全員に飯を奢り続け、球団の領収書を切った

  3. 8

    長澤まさみの身長は本当に公称の「169センチ」か? 映画「海街diary」の写真で検証

  4. 9

    嫌というほど味わった練習地獄と主力との待遇格差…俺の初キャンプは毎日がサバイバルだった

  5. 10

    ドジャース「投手」大谷翔平がMLB最大落差の“魔球”を温存する狙い…リハビリでは「実戦でもっと試したい」と