ハイセンス社が116V型を投入…テレビは中国企業の覇権で超大型時代に
かつて日本の「お家芸」だったテレビ産業は、現在、中国企業が覇権を握る構図へと完全に移行した。その象徴が、中国のハイセンス社が今秋に投入する国内最大級の116V型(V型はインチと同義)液晶テレビだ。この超大型モデルは、市場の主導権が移った事実を鮮烈に示している。
日本のテレビ市場において「大画面=ホームエンターテインメント」の図式が確立したのは1987年以降で、松下「画王」、東芝「バズーカ」、ソニー「キララバッソ」などが32インチのブラウン管テレビで市場を牽引した。
その後、デジタル放送への移行を控えた90年代末から、次世代テレビの主役の座を巡る争いが激化。当初、技術的に優位にあったのはプラズマディスプレー(PDP)だった。ブラウン管と同じ自家発光型で画質が良く、97年にパイオニアが50V型を発売するなど、大画面化を先行させた。一方、当時の液晶ディスプレー(LCD)は20V型が限界だった。
しかし、95年のWindows登場以降、PCモニターとしての液晶ディスプレーの需要が急増し、テレビ市場の数倍の規模を持つ市場で量産効果が劇的に進展した。これにより、液晶は技術的な弱点を克服しつつ、コスト優位性と省エネ性を武器に、画質で勝るプラズマを逆転する構図となった。