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太刀川正樹ジャーナリスト

1946年、東京生まれ。国際ジャーナリスト。早稲田大学教育学部英文科在学中、韓国国立ソウル大学語学研究所へ留学、韓国語を学ぶ。講談社の日本語版「ペントハウス」ニューヨーク特派員などを経験。著書・訳書に「政権交代」「平壌十五号官邸の抜け穴」「オリンピック30年」など。

韓国で直撃!演歌の女王・桂銀淑「日本の皆さんの前で死ぬ前にもう一度歌いたい」

公開日: 更新日:

覚醒剤事件は「まだ納得できないことがたくさんある」

 ファンミーティングが行われたのは江南の文化通りにあるコンサートホール。客席200前後だが、中年客を中心に満席だった。日本人ファンの姿もあちこちにあった。

 コンサートでは80年代初頭のヒット曲「歌って踊って」「待っている女心」などの韓国歌謡と、日本で大人気を博した「すずめの涙」「大阪暮色」「酔いどれて」「ベサメムーチョ」などを交互に約2時間熱唱した。彼女はステージからファンに直接、話しかけるなど桂銀淑らしいトークもあった。彼女の「演歌の基本は大衆(客)の前で会話を楽しんだり、スキンシップをしながら歌うことが大切」が口癖だったことを思い出した。

 コンサート終了後、楽屋を訪ねた筆者の顔を見るなり、「太刀川さん、食事に行きましょう」といきなり誘われた。朴正煕元大統領が常連だったというプルコギ食堂だ。さっそくインタビューが始まった。

 ──コロナ禍をどう過ごしていたんですか?

「地方公演がなくなったり、外出も控えた時期がありました。でも自宅の近くのサウナには健康維持のために頻繁に通い、常連客とはよくおしゃべりをしていましたよ。長い時には4時間くらい過ごすこともあるんですよ。私はプロテスタント教徒ですが、コロナのおかげで、教会の礼拝も中止になったことが多くありました。ファンと会えないことが一番つらかったですね」

 ──海外旅行は?

「コロナ禍以前にはフィリピンに行きました。日本人ファンとも会って食事をしたり。実はある日本人ファンからプロポーズされたんですよ。結婚して日本に帰化して、一緒に暮らそうとも。考えてもいないことなので、ビックリしました。私のために日本のお墓も用意すると連絡をくれた人もいます。私のことを忘れないファンがいるだけでもありがたい話です」

 ──日本での覚醒剤事件の件ではハメられたと証言していましたね?

「まだ納得できないことがたくさんあるんです。私に元気になる薬があるといって提供してくれた日本人は芸能事務所の人です。この人物の携帯電話からなぜか刑事が電話をかけてきたりしたこともあります。刑事と芸能事務所の人物が一緒になって私をハメたのではないかと今でも思っています」

 ──日本を訪問する時が来たら、まず何をしたいですか?

「日本のファンの皆さんにおわびと感謝をしたいですね。それから2011年3月11日の東日本大震災で犠牲になられた人たちの慰霊をしたい。私のファンも多く犠牲になったことを聞き、胸が痛いです。そして日本の皆さんの前で死ぬ前にもう一度歌いたい。これが私の最後の夢です」

(取材・文=国際ジャーナリスト・太刀川正樹)

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