著者のコラム一覧
増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

「時代に挑んだ男」加納典明(6)ムツゴウロウさんにも「俺ははっきり言うから。格好つけるなって」

公開日: 更新日:

 小説、ノンフィクションの両ジャンルで活躍する作家・増田俊也氏による新連載がスタートしました。各界レジェンドの一代記をディープなロングインタビューによって届ける口述クロニクル。第1弾は写真家の加納典明氏です。

  ◇  ◇  ◇ 
 
増田「僕は草間彌生さんのファンでしたし、畑正憲さんのファンだった。その両方が加納さんとクロスしていることを知って、どうしても加納さんの生涯をたどって、加納さんのパワーの源泉を知りたかったんです。それくらい加納さんは日本の文化史や芸術史で重要な人物だと思っています。ムツさんは加納さんのことだけは別格だと思っていた節があります。ものすごく影響を受けていました」

加納「ムツさんが、俺から影響を受けてた?」

増田「かなり強い影響を受けていますね。人生観が変わるほどの」

加納「どういうことですか」

増田「彼の大量のエッセーを読んでいると『加納典明から影響を受けて自分は変わった』みたいなことを何カ所かで書いてるんです」

加納「そいつは知らなかったな」

増田「僕は子供のころから繰り返し読んでたからそれが見えた。あの人はすごくプライドが高くて、人を褒めるときも斜に構えてるんですよ。褒め殺しといいますか。でも典明さんには本物の敬意があるんです」

加納「それがわかりますか」

増田「文章の温度からわかりますね。例えば『これは加納典明から教わったことだ』と断って『自分は物を持つのに自分はこだわりがなかったんだけども典明が一流の物を持てと厳しく言うんで段々と理解していった』と。例えば釣り竿。畑さんはその辺りの竹を刈って使ったり、安物を買ってきて使っていた。釣果を出せば関係ないだろうと。それを一流の物を使えっていうことを言われたんだと。それであらゆるものに一流の物ばかり使うようになったと。どんな話をされたんですか?」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」