著者のコラム一覧
増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。2012年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一ノンフィクション賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。現在、名古屋芸術大学客員教授として文学や漫画理論の講義を担当。

「時代と寝た男」加納典明(8)「このおっさん、俺にはちょっとわけわかんねえな」って

公開日: 更新日:

 小説、ノンフィクションの両ジャンルで活躍する作家・増田俊也氏による新連載がスタートしました。各界レジェンドの一代記をディープなロングインタビューによって届ける口述クロニクル。第1弾は写真家の加納典明氏です。

  ◇  ◇  ◇

増田「ムツゴロウ王国*に移住したのは若い時ですよね。典明さんがまだ30代の頃ですよね」

※ムツゴロウ動物王国:1972年、畑正憲が北海道の浜中町に設立した自宅住居を含む動物飼育施設。面積は450万平方メートルあり、51万平方メートルある東京ディズニーランドの9倍という広大さを誇る。

加納「うん。そう」

増田「36歳とか37歳とか。それぐらいですね。当然カメラは持っていかれてると思うんですが。撮影はあまりされてないですか。ムツさんとか動物の」

加納「ほとんど撮らなかったんだよ。というより撮ることができなかった。おそらく写真疲れしてたんだな。北海道へ行った原因のひとつが写真疲れなんだよ。東京でめちゃくちゃ忙しくて」

増田「『FUCK』で売れて以来」

加納「そう。写真以外にも役者やったり芸能活動やったりテレビ出たり、いろんなことをやって。小説書いてくれとか言われて小説も書いたの、俺」

増田「そうでしたね」

加納「そのうち疲れ果ててしまってね。仕事のしすぎで。都会生まれの人間っていうのは、一度は原野で、大自然の中で暮らしてみたいみたいな願望がどっかにあるはず。それを動物王国行くことによって果たした、と。結果論でもあるけれども、それはひとつある」

増田「なるほど」

加納「畑正憲という人物に非常に興味を持ったということがきっかけなんだけどね。最初は雑誌の取材で会ったのかな。俺は写真家だから対象の相手ってのは、やっぱり写真で見るっていうか、写真顔っていうか、感性とか考え方とか、非常に多様な面で相手を受け取ろうとする。

例えば増田さんを僕が撮るとしたら、誤解も含めて『多分こんなイメージだろう』と、あるいは『こんな考え方だろう』と、あるいは『こういうヒストリーだろう』と、勝手に解釈して撮っていくわけです。それが、あの人、俺はちょっとこのおっさんわけわかんねえなっていうのがあったわけだよ」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    小泉進次郎「無知発言」連発、自民党内でも心配される知的レベル…本当に名門コロンビア大に留学?

  2. 2

    クビ寸前フィリーズ3A青柳晃洋に手を差し伸べそうな国内2球団…今季年俸1000万円と格安

  3. 3

    高畑充希は「早大演劇研究会に入るため」逆算して“関西屈指の女子校”四天王寺中学に合格

  4. 4

    9日間の都議選で露呈した「国民民主党」「再生の道」の凋落ぶり…玉木vs石丸“代表負け比べ”の様相

  5. 5

    国分太一コンプラ違反で無期限活動休止の「余罪」…パワハラ+性加害まがいのセクハラも

  1. 6

    野球少年らに言いたい。ノックよりもキャッチボールに時間をかけよう、指導者は怒り方も研究して欲しい

  2. 7

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  3. 8

    ドジャース大谷「二刀流復活」どころか「投打共倒れ」の危険…投手復帰から2試合8打席連続無安打の不穏

  4. 9

    28時間で150回以上…トカラ列島で頻発する地震は「南海トラフ」「カルデラ噴火」の予兆か?

  5. 10

    自転車の歩道通行に反則金…安全運転ならセーフなの? それともアウト?