著者のコラム一覧
増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

「時代に挑んだ男」加納典明(8)「このおっさん、俺にはちょっとわけわかんねえな」って

公開日: 更新日:

 小説、ノンフィクションの両ジャンルで活躍する作家・増田俊也氏による新連載がスタートしました。各界レジェンドの一代記をディープなロングインタビューによって届ける口述クロニクル。第1弾は写真家の加納典明氏です。

  ◇  ◇  ◇

増田「ムツゴロウ王国*に移住したのは若い時ですよね。典明さんがまだ30代の頃ですよね」

※ムツゴロウ動物王国:1972年、畑正憲が北海道の浜中町に設立した自宅住居を含む動物飼育施設。面積は450万平方メートルあり、51万平方メートルある東京ディズニーランドの9倍という広大さを誇る。

加納「うん。そう」

増田「36歳とか37歳とか。それぐらいですね。当然カメラは持っていかれてると思うんですが。撮影はあまりされてないですか。ムツさんとか動物の」

加納「ほとんど撮らなかったんだよ。というより撮ることができなかった。おそらく写真疲れしてたんだな。北海道へ行った原因のひとつが写真疲れなんだよ。東京でめちゃくちゃ忙しくて」

増田「『FUCK』で売れて以来」

加納「そう。写真以外にも役者やったり芸能活動やったりテレビ出たり、いろんなことをやって。小説書いてくれとか言われて小説も書いたの、俺」

増田「そうでしたね」

加納「そのうち疲れ果ててしまってね。仕事のしすぎで。都会生まれの人間っていうのは、一度は原野で、大自然の中で暮らしてみたいみたいな願望がどっかにあるはず。それを動物王国行くことによって果たした、と。結果論でもあるけれども、それはひとつある」

増田「なるほど」

加納「畑正憲という人物に非常に興味を持ったということがきっかけなんだけどね。最初は雑誌の取材で会ったのかな。俺は写真家だから対象の相手ってのは、やっぱり写真で見るっていうか、写真顔っていうか、感性とか考え方とか、非常に多様な面で相手を受け取ろうとする。

例えば増田さんを僕が撮るとしたら、誤解も含めて『多分こんなイメージだろう』と、あるいは『こんな考え方だろう』と、あるいは『こういうヒストリーだろう』と、勝手に解釈して撮っていくわけです。それが、あの人、俺はちょっとこのおっさんわけわかんねえなっていうのがあったわけだよ」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    山崎まさよし、新しい学校のリーダーズ…“公演ドタキャン”が続く背景に「世間の目」の変化

  2. 2

    ポンコツ自民のシンボル! お騒がせ女性議員3人衆が“炎上爆弾”連発…「貧すれば鈍す」の末期ぶりが露呈

  3. 3

    ラウールが通う“試験ナシ”でも超ハイレベルな早稲田大の人間科学部eスクールとは?

  4. 4

    Snow Man目黒蓮と佐久間大介が学んだ城西国際大メディア学部 タレントもセカンドキャリアを考える時代に

  5. 5

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  1. 6

    田村亮さんが高知で釣り上げた80センチ台の幻の魚「アカメ」赤く光る目に睨まれ体が震えた

  2. 7

    草間リチャード敬太“全裸騒動”にくすぶる「ハメられた」説…「狙った位置から撮影」「通報が早い」と疑問視する意見広がる

  3. 8

    国民・玉木雄一郎代表の“不倫相手”元グラドルがSNS凍結? 観光大使を委嘱する行政担当者が「現在地」を答えた

  4. 9

    「ばけばけ」で注目の阿佐ヶ谷姉妹の“姉”渡辺は公立女子校の超名門「宇都宮女子」出身

  5. 10

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  2. 2

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  3. 3

    Snow Man目黒蓮と佐久間大介が学んだ城西国際大メディア学部 タレントもセカンドキャリアを考える時代に

  4. 4

    ポンコツ自民のシンボル! お騒がせ女性議員3人衆が“炎上爆弾”連発…「貧すれば鈍す」の末期ぶりが露呈

  5. 5

    高市新政権“激ヤバ議員”登用のワケ…閣僚起用報道の片山さつき氏&松島みどり氏は疑惑で大炎上の過去

  1. 6

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  2. 7

    田村亮さんが高知で釣り上げた80センチ台の幻の魚「アカメ」赤く光る目に睨まれ体が震えた

  3. 8

    自維連立が秒読みで「橋下徹大臣」爆誕説が急浮上…維新は閣内協力でも深刻人材難

  4. 9

    ラウールが通う“試験ナシ”でも超ハイレベルな早稲田大の人間科学部eスクールとは?

  5. 10

    「連合」が自民との連立は認めず…国民民主党・玉木代表に残された「次の一手」