松坂桃李は「時代のニューリーダー」か? ドラマ、映画と主演作が相次ぐワケ
ここにきて主演、あるいは主演クラスで松坂の出演作が続いているのは、なぜなのか。ひとつの見方として考えられるのは、「御上先生」が文部科学省から出向した、私立高校の教師。「フロントライン」では厚生労働省から派遣された現場の責任者で、どちらも「役人」で有能で性格的に冷静。常に正義感や使命感が行動の原動力になっているところが共通している。
一昔前にはテレビの「半沢直樹」(13年)で堺雅人が、権力の謀略に立ち向かう勧善懲悪ものの正義のヒーローだった。松坂が演じるのは現実的に問題と向き合う、周りの人を巻き込んで一緒に変えていこうとするキャラクターである。そこに世間は、新たな時代のリーダー像を見つけ始めているのかもしれない。
堺雅人が「半沢直樹」に主演したのが、40歳の手前。松坂は現在36歳、まさに次世代のリーダーを演じるにふさわしい年頃ともいえる。ただ彼は「パディントン」の可愛いクマの声も演じれば、「父と僕の終わらない歌」では親の期待に応えられなかったことを悔やむ息子の葛藤を表現するなど、演技の幅が広い俳優なので、リーダー的なイメージに安住して欲しくないのだが、時代が待望するミドル世代のリーダー像と彼の持つ雰囲気がフィットしてきたのは確か。その快進撃は、これから本格的に始まる気がする。