「言われたことをやる役者」古田新太の「断らない」美学と笑わせる「信念」
言われたことをやるのが役者ならば、「断らない」のも古田の美学。「個性派」と称される古田の下にはさまざまな無理難題とも言えるようなオファーがやってくる。それに対し、スケジュールさえ空いていれば基本、引き受ける。
「求められているならやりますよって話で、自分から個性派俳優を名乗ったことはないです。(略)『やれ』と言われたからやっているだけで思い入れもないです。役者って仕事は断っちゃいけないと思うんです。これを演ってくださいと言われたら『はい』と言える人が役者だと思うから、僕はこんな役がやりたいと言っているうちは駄目じゃないですか」(オリコン「ORICON NEWS」2019年4月20日)
そしてもうひとつの信念が“現場”を大切にすること。「始まっちゃったら一生懸命、監督のニーズに応える。あとは場が和めばいい」(同前)と、現場の人たちをいかに笑わせるかに腐心する。冒頭の番組でも「俺、ドラマとか映画とかも、音声さん笑かすことしか考えてない」と言っていた。そこには、目の前のお客さんを笑わせる「舞台俳優」としての誇りがあるに違いない。
「お客さんありきだから。お客さんが最後立ち上がってわーって拍手してくれたりとか、下ネタいってゲラゲラ笑うとか、寝ている客を起こせる距離っていうのが好きなんだよね」(「日刊スポーツ」22年1月6日)