黒木華主演「重版出来!」は“お仕事ドラマ”の進化形だった
とはいえ、これらのドラマでは仕事が一種の「背景」となっていた。職場は「騒動が起きる場所」であり、「仕事の専門性」が深く描かれたとはいえない。主軸はキャラクターの掛け合い・人間関係・コメディーなどで、職能(スキル)よりも個性の衝突がドラマを動かす傾向があった。
一方、その20年後の「重版出来!」では、職場は物語の主題となり、仕事そのものがドラマ的葛藤の源泉となっていく。主人公の職能や判断が物語を動かし、業界の仕組みや現場のリアリティーも重視されていた。原作は松田奈緒子の同名漫画。脚本は野木亜紀子だ。
当時、すでに出版不況といわれて久しかった。コミックというジャンルにも創造とビジネスのバランスなど課題は山積していた。だが、心には妙な屈折や功名心などがない。面白い漫画を世に出したいという編集者としての純粋な思いだけだ。それがこのドラマを爽やかなものにしていた。
黒木にとっては、映画「小さいおうち」や大河ドラマ「真田丸」などで演じてきた、“和風でおっとり”なキャラクターとは異なるヒロインだ。しかし、コメディエンヌとしての才能も発揮して、生き生きと演じていた。


















