専門家に聞く 狭心症治療の新兵器「薬剤コーテッドバルーン」

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 しかし、0%になったわけではない。

「再狭窄を起こすと、留置したステントの中に、さらにステントを入れる治療が行われます。金属の筒が二重になれば、血流の通り道は狭くなり、血管の柔軟性は失われます」

 再狭窄を起こす人は、それ以降も狭窄を繰り返すことがある。いくら網目状とはいえ、金属の筒を三重にするわけにはいかず、これといった治療法がなくなる。

 ところが2014年、冒頭の「薬剤コーテッドバルーン」が保険承認され、6~8%の再狭窄を起こす人の治療法が変わった。

「薬剤コーテッドバルーンは、バルーンにパクリタキセルという薬剤が塗られています。狭窄部分でバルーンを1分ほど広げると薬剤が血管に浸透します」

 この薬剤によって血管の細胞の増殖が抑えられるので、ステントを再び入れることなく、再狭窄を防げる。当初は、「バルーンに薬剤を塗っても、狭窄部分に届く前に流れてしまうのではないか」などと疑問視する声もあったが、造影剤を混ぜるなどの工夫によって狭窄部分まで確実に届くようになった。

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