やはり侮るなかれ…風邪が招く“死に至る病気”

公開日: 更新日:

糖尿病ケトアシドーシスで昏睡

 実際、風邪をひいた人は何も食べなくても血糖値が上がる。これは糖尿病治療の常識だ。風邪の原因となるウイルスや細菌が本来、人のインスリン分泌能力を抑制したり、インスリンの効き目を抑える働きをするからだ。

「しかも、食事をしていない田中さんは血液中のブドウ糖を代謝してエネルギーを作ることができません。それをカバーするため、体は血液中のブドウ糖の代わりに体内の脂肪を代謝してエネルギーを作ろうとしますが、その際にできるケトン体が血液中に急激に増えて血液が酸性となります。その結果、田中さんは意識障害や昏睡状態を起こす糖尿病ケトアシドーシスを発症したのです」

 田中さんの場合は、これに発熱や下痢による脱水症状が加わり、血液の濃度が高くなることで脳梗塞心筋梗塞を起こすリスクもあったという。

 糖尿病の飲み薬を飲んでいる人や糖尿病予備群の人も、一気に重度の糖尿病に進んでしまう。気をつけたい。

「人によっては1型糖尿病を発症することがあります。その原因はハッキリしませんが、免疫細胞が風邪のウイルスや細菌と間違えて、インスリンを作る膵臓の細胞を破壊するからだといわれています。また、市販の風邪薬の中にはインスリンの働きを強めたり、逆にその作用を弱めるものがあるので要注意です」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々