手術不能な膵がん患者 「5年生存率0%」からの治療最前線

公開日: 更新日:

 藤井准教授らが試みているのは、卵巣がん胃がん手術で行われている治療法で、リザーバーというポート(差し入れ口)をお腹に埋め込み、それを通して抗がん剤を直接注入する。

 用いる抗がん剤は「パクリタキセル」で、週1回投与。臨床研究段階だが、このパクリタキセルの直接投与を受けた33人の腹膜播種の患者のうち、4分の1に該当する8人のがんが縮小し、手術が可能になった。がんがあることを示す腫瘍マーカーが正常化に至った。

 パクリタキセルの膵がんへの投与は保険適用ではないので、現在国内でこの治療を行っているのは、名古屋大と関西医科大などに限られている。

 名古屋大では、手術不能の膵がんの場合、CTなどで腹膜播種が認められなくても、審査腹腔鏡という腹膜播種を見る検査機器で調べる。腹膜播種がなければ「抗がん剤や放射線で手術の可能性を見いだす治療」、腹膜播種があれば「ポートを埋め込みパクリタキセルを直接投与する治療」を行っている。これらによって、この5年で名古屋大の膵がんの平均余命が2倍に延びた。

 膵がんであっても、諦めてはいけない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃