著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

がん終末期の点滴に医学的効果は期待できない

公開日: 更新日:

 がんの末期の患者さんで、食事が取れなくなり、ベッドで横になっている時間が多くなると、もうあと数週間というのが平均的な経過です。

 こうした状況でしばしば問題となるのが、点滴をするかどうかです。本人はともかく、付き添いの家族は「最低限、点滴くらいは……」という気持ちになることが多いでしょう。現実の診療の場でも、家族の希望を受けて、私自身点滴をすることはよくあります。しかし、終末期の点滴の効果については意外な研究結果が示されています。

 この研究は、終末期で食事が取れず、脱水症状がある患者を対象に、「1日1000㏄の点滴をするグループ」と「100㏄の点滴をするグループ」を比較して、「だるさ」「眠気」「幻覚」「筋痙攣」の症状の変化で効果を検討しています。結果は2つのグループに症状の差はありませんでした。

 点滴するためには、針を刺す時の痛みもあります。点滴中は点滴の管につながれて、動きが制限されます。点滴にはそうしたデメリットが明らかなわけですが、少なくともそれを上回るような症状の改善は示されなかったのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々