著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

マンモグラフィーの乳がん死に対する効果の本当のところ

公開日: 更新日:

 以前紹介した乳がん検診についてのデータは、9つの研究を統合したランダム化比較試験のメタ分析という質の高いものでした。しかし、実際にはその9つの研究の質にはばらつきがあり、5つの研究は研究手法上に問題があり、より妥当性が高い研究は4つに過ぎませんでした。

 そのため、質の高い4つの研究に限って同様な検討をした結果も報告されています。それによれば、相対危険は0.90で、「100の乳がん死亡を90まで減らす」という結果です。前回の0.84という数字に比べて、やや効果が小さいという結果です。

 さらに細かく、年齢ごとの結果を見てみましょう。50歳未満で0.87、50歳以上で0.94と、「50歳以上でより効果が大きい」という以前の結果とは異なっています。

 さらに、この「100から90に減る」という結果ですが、統計学的に有意な差ではなく、偶然減ったように見えるだけ、という結果かもしれないというものです。

 また乳がん死亡に対する効果を「比」でなく「差」で見ると、検診群0.34%、検診を受けない群0.33%でした。その差は0.01ポイントに過ぎないことが分かります。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」