著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

胃がんに「抗がん剤は効かない」は大きな勘違い

公開日: 更新日:

 農業を営むSさん(46歳・女性)は、3カ月前から上腹部に時々痛みがあったといいます。自宅近くの胃腸科医院で内視鏡検査を受けたところ、胃の幽門部(出口に近い)にがんが見つかり、私が勤める病院に紹介されてきました。

 病院に来られた時には、既に左頚部(鎖骨上部)のリンパ節に転移があり、ステージⅣの診断でした。根治手術(手術でがんを全て取り除く)は無理だったため、週1回の抗がん剤治療を開始。治療2カ月後、頚部リンパ節の転移は消え、胃内視鏡で径約4センチあったがんは約1センチまで縮小しました。さらに4回の治療を行った後に手術を行い、病理検査でもがんは痕跡をとどめるほどにしか残っていませんでした。

 その後、5年経過しても再発なく完治されました。

 がんが遠くまで広がっていて根治手術が不可能と判断された場合でも、まずは抗がん剤治療を行って、がんが小さくなってから手術を受け、治癒または長期に生存できた例は数多く報告されてきています。また、根治手術が可能と考えられる場合でも、再発を少なくすることを目標にして、手術前に抗がん剤治療を行って(術前化学療法)さらにがんを小さくしておき、その後に手術を行うこと(臨床試験)を勧める病院もみられます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも