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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

死亡数の地域差 長野県と青森県の明暗を分ける生活習慣

公開日: 更新日:

 がんの死亡率は全体として年々改善していますが、地域差があるのをご存じでしょうか。男女とも長野がベストで、青森がワーストです。都道府県ごとの年齢構成を考慮した人口10万人当たりのがん死亡数(2015年)は、青森が96.9人で62.0人の長野の1.5倍超。長野より5割も多いのです。

 なぜこれほどの開きがあるかというと、がんを引き起こす原因は半分から3分の2が生活習慣によるものだから。世間話で「ウチはがん家系だから」と言いますが、がんが遺伝しているわけではなく、がんを起こしやすい生活習慣を受け継いでいるのです。

「国民生活基礎調査の概況」によると、青森の喫煙率は全国で2位。さらに肥満指数がトップクラスで、飲酒の割合も塩分摂取量も高い半面、野菜摂取量や1日の歩数は必要量に達していません。

 ところが長野は野菜摂取量が1位で肥満が少ない。喫煙率は全国平均を下回っています。こうしたことから、長野の平均寿命は全国トップ。それは生活習慣が築き上げたもので、その良さがそのまま低いがん死亡率につながっている可能性が高いでしょう。

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