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天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

大腸がんと心臓疾患は危険因子が共通している

公開日: 更新日:

 近年、急増している大腸がんと心臓疾患には密接な関係があります。

 米国のアラバマ大学の研究チームの報告では、大腸がんの高齢者は心臓疾患を発症するリスクがアップすることがわかりました。2000年1月1日から11年12月31日までに大腸がん(ステージ1~3)を発症した65歳以上の7万2408例と、メディケア(主に65歳以上に対する医療保険制度)を受けているがん以外の患者からマッチさせた7万2408例を比較したところ、大腸がんの高齢者は心血管疾患やうっ血性心不全を発症するリスクが約3倍も高かったのです。

 要因はさまざまあると考えられますが、中でも注目すべきは「高コレステロール」です。悪玉といわれるLDLコレステロールは、大腸がんと心臓疾患に共通する危険因子なのです。

 LDLコレステロールの数値が高いということは、体の中に炎症を起こす“火種”が常にあるということです。血管内で慢性的に炎症を起こせば心筋梗塞や大動脈解離を招きますし、大腸で悪さをすれば大腸がんにつながります。局所で起こる慢性的な炎症によって細胞が障害を受け続けるため、どちらも発症しやすくなってしまうのです。

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