著者のコラム一覧
和田秀樹精神科医

1960年6月、大阪府出身。85年に東京大学医学部を卒業。精神科医。東大病院精神神経科助手、米カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。著書多数。「80歳の壁」(幻冬舎、税込み990円)は現在、50万部のベストセラーに。最新刊「70歳の正解」(同)も好評発売中。

前頭葉が萎縮してまっても人間の脳には「予備力」がある

公開日: 更新日:

 もちろん認知症は、神経細胞の数が減るだけでなく、生きている神経細胞にも問題が発生することによって発症するので「脳を使っていれば100%認知症にはならない」とは断言できない。

 しかし、人間の脳には約1000億の神経細胞があるとされており、かつ、実際に人が生涯で使うのは多くて10%、ケースによっては数%にとどまるといわれている。それだけ「予備力」に富む器官なのである。刺激して使い続けていけば、ふだんは眠っている神経細胞が活発に動きはじめて、老化によって減っていた神経細胞の役目をカバーできるともいえるのだ。

 飛行機が航行中にエンジンに故障が発生することがある。だが、ひとつのエンジンの故障だけならもうひとつのエンジンだけで飛行を続け、無事に着陸できる。

 とにかく、子どもは認知症の親の故障してしまったエンジンを嘆くのではなく、いまも見事に動き続けているもうひとつのエンジンの力を愛でるべきだ。認知症であっても熟練パイロットのひとりである高齢な親は、「良くボケた」状態を保ちながら飛行を続けて、見事に着陸してみせるはずだ。

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