著者のコラム一覧
和田秀樹精神科医

1960年6月、大阪府出身。85年に東京大学医学部を卒業。精神科医。東大病院精神神経科助手、米カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。著書多数。「80歳の壁」(幻冬舎、税込み990円)は現在、50万部のベストセラーに。最新刊「70歳の正解」(同)も好評発売中。

親にボケ防止習慣の無理強いすると逆にストレスになる

公開日: 更新日:

 私の知人が自分の高齢の母親について興味深い話をしてくれた。95歳になる母親は彼の住まいから電車で10分ほどの場所で一人暮らしを続けている。週に1回、日曜日に彼は母親宅を訪れるのだが、ひとつだけ注意していることがあるという。それは母親が定期購読している新聞のことだ。「新聞がクシャクシャになっていれば安心。きれいに畳んだままなら要注意」だというのだ。知人は、もし母親が若いころから毎日隅々まで読んでいた新聞を読まなくなったら老化、認知症発症の兆しだと考えているという。つまり、新聞を読むか読まないかが母親の変化の尺度になっているわけだ。

 そんな彼女だから、彼が訪ねてくると決まって新聞で仕入れた新しい情報を話題にするという。

 最近も「日本では2025年には認知症が700万人になるそうだね。私は生きていないだろうけど……」などと、政府が発表した認知症対策の新聞記事から得た情報を披歴したそうだ。傍らには熟読したと思われるクシャクシャの新聞が置いてあったという。

「客観的に見ても認知症の症状はありませんね」と知人は安心顔でいう。実際、彼女は最近受けた認知症の検査でも満点を取って、担当の医者を驚かせたそうだ。

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