著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

「尿酸値」が正常な人はポリフェノールの恩恵が少ない?

公開日: 更新日:

 人体はポリフェノールを合成できません。そのため植物やその加工品から摂取するしかありません。しかし、野菜嫌い・果物嫌いでも健康な人は大勢います。それに必須ビタミンや必須ミネラルはあっても、「必須ポリフェノール」なんて聞いたことがありません。それでも健康でいられるのは、人間に「尿酸」が備わっているからかもしれないのです。

 尿酸は言うまでもなく痛風の原因です。しかし、ビタミンCなどをもしのぐ、最強レベルの抗酸化作用があることが昔からよく知られていました。しかも意外なことに、人体は尿酸をわざと捨てずにため込んでいるのです。

 尿酸は新陳代謝によって生じる老廃物で、尿に混ぜて捨てられるはずなのですが、なんと9割が腎臓で回収され、血液中に戻されているのです。わざわざ尿酸値が下がるのを防いでいるのですから、血液中の活性酸素を無害化するためと考えるのが自然でしょう。

 一方、他の哺乳類の多くは、尿酸を他の物質に変えて、そのまま尿と一緒に捨ててしまっています。犬や猫が痛風にかかったなんて話は、聞いたことがありません。人間(と霊長類)だけが尿酸をため込んでいます。しかも他の動物よりも寿命が長めです。そのため、「人間がこれほど長生きなのは実は尿酸に秘密があるんじゃないか」という研究者もいるほどです。とはいえ、尿酸値が高ければいいというわけではありません。数値が高い人ほど見た目が若々しくて、がんにかかりにくいかというと、そんなことはないのです。おそらく正常範囲(男女とも血液100㏄当たり3・0~7・0ミリグラム)で十分過ぎるくらい抗酸化効果があるのでしょう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁